二 番 目 に 大 切 な 人
「お」
「あ」
「元気か?」
「お前も」
街中で偶然再会したのは一年後。
御剣と一緒に歩いていた時で、向こうも女連れだった。
もちろんいつぞやの彼女とはまた別の。
「お、いたのか。御剣」
「そりゃ、まぁ、いる」
「オレ携帯変わったんだわ。まだ教えてねぇよな?」
「ぼくもメモリ消えちゃってさ、教えてくれるか?」
「御剣生き返ったんならよォ、今度また三人で飲もうぜ」
「ああ、いいね。ぜひ」
「人をゾンビみたいに言うな」
「あんな手紙残してよォ、帰ってくるの恥かしかったろォ〜?ひゃひゃひゃ」
「もう酔いつぶれても介抱しないからな」
ぼくは笑いながら矢張のナンバーを登録する。
「任せろ!」
矢張は親指を立てる。相変わらず袖が少し長い。
ぼくたちと矢張たち、行く先がまるで逆だったので軽く手を挙げて別れる。
「あ、矢張――」
聞き忘れたことがあったのだけど、振り返るともう彼らの姿は遠く見えなかった。
「どうかしたのか」
御剣が尋ねる。
ぼくは頭を振って、なんでもないと言えなくて黙る。
二 番 目 に 大 切 な 人 。
END
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