Mission 27
〜雇い主の童貞を優しく奪え〜
カグツチ戦を目前にまた人修羅がダダをこね始めた。
「ちょっとションボリしてきたからそっとしておいてくれ」
オベリスクの空き部屋で膝を抱えてブツブツ言っている。
変異前からの古株、スカディやアルビオンは慣れたもので、
背伸びしたりぶるぶる震えながら部屋を出て行くのだが、
新参者のダンテは納得いかない。外国人らしく激しいブーイングを始める。
「おい少年、もうちょっとの辛抱じゃないか。
こんなとこでグズグズしてるヒマはねぇ……そうだろ?」
「うるさいなぁ。
あんたと違ってクリアタイムランクとかスタイリッシュランクとか、
わけわかんない評価関係無いんだからそっとしといてくれよ」
恨めしそうにダンテの変なベルトを見上げ、フォッグブレスのため息をつき、
人修羅はさめざめと泣き真似を始めた。
派手なナリと裏腹に人の良いデビルハンターがほうっておけるわけが無い。
「悪魔は泣かない」
並んでしゃがみ、肩をポンポンと叩く。
「また祐子先生に騙された……。
先生のせいで童貞捨てる前に人間捨てるハメに」
「そんなことを気にしてるのか?」
外人らしく大げさに肩をすくめるダンテ。
「ダンテさんにおれの気持ちなんてわかんねーよ!
どうせスタイリッシュにOHとかAHとかファックしまくりなんだろ!!」
「いや、スタイリッシュとそれはあまり関係が」
「まさかダンテさんに限って、カッコつけすぎて実は経験無いとか、
マザコンすぎていざ女性を前にすると神聖視しすぎて勃たないとか
そんなわけないよな?」
「…………」
「キッツイ顔の女悪魔と戦う度に
『母さんに似てる……』
とかクリティカル外すんだもんなぁ。大体ニュクス似の母ちゃんとか怖ぇって!
ダンテさんってああいうのが好みなのか?まさにマニアクスだなー」
「………………………」
うっかりダンテが黙り込んだので人修羅は慌てて話題を変えた。
「あ、あのさ。
さっき倒したノアの中の人、友達だったんだ。
やっぱショックでかくてさ……」
「ああ……わかるぜ、少年。
俺も昔、そうとは知らずに大切な人を亡くしたもんだ」
「おれの計画ではさ、すったもんだの学園生活を経て、
優しく童貞を奪ってもらうはずだったんだ」
「………それはなんというか……ガッツあるな。その友達が」
「……ミスターダンテ……雇い賃の3倍、いや10倍払うから」
「悪いな、今日は閉店だ」
身の危険を感じたダンテはどこにあるかわからないストックに戻ろうとしたが、
定員いっぱいで入れない。
「這いつくばって拾え!」
性的に興奮した人修羅は無表情にマッカをバラ撒いた。
わりと身も心も悪魔になって楽しそうだった。
「10倍ったって10マッカじゃねえか!」
「この際100倍でもいいよ!
本国じゃどんな依頼も受ける便利屋なんだろ!」
「ヘイ化け物!仕事は選ぶほうだぜ!」
「めいっぱい優しくするから!」
「ニポンジンウソツキネ!ヤサシクスルイテクチバカリダヨ!!」
「えーと、メイクラブウィズミー!!」
「Silence!(黙れ!)」
「えーとえーと、キスユーアス!」
高2レベルと思えない英語と、中途半端な日本語で罵ったり口説いたりしているうちに、
「……OK」
あっさりダンテが折れた。基本的にお人よしなのだ。
そのせいでこんな子供に小銭でいいように使われているわけなのだが。
人間の身で悪魔になり、今まさに死地に向かわんとする少年が、
その前にせめてイイ目に遭っておきたい、という気持ちもわからなくはない。
自分の尻で慰められるならそれでもいいかなぁ。
と、英語でムズムズ考えていた。わりと人修羅の思う壺だった。
「……わかったぜ少年。
地獄の果てまで一緒だからな、尻くらい使わせてやる」
「やったぁ!!
その胸の谷間でパイズリしてもらうのが夢だったんだ!」
早くもマガツヒを放出しそうな人修羅が短パンに手を掛ける。
おんもに飽きて帰ってきたアルビオンが気を遣って壁になってくれたが、
全体的に半透明なのであまり意味はなかった。
イマイチ構造のわからない服を脱ぎながら、ダンテが上目遣いで挑発する。
「……来いよ。10分で終わらせてやる」
人修羅は掌を広げた。
「いいや、5分だ」
「Are you premature ejaculation?(早漏かよ!)」
+ おしまい +
うんざりして戻る
移転作業のために久々に読み返したら、犬修羅がダンテをさんづけで読んでいてびっくりしました。
面倒なのでそのままにしておきました。
ダンテさんシリーズは他にもいろいろ考えていたのですが(ダンテ×ヒジリとか)
全部忘れた。