「あいたたたたたたた!」
「だから触っちゃだめって言ったッス!先っぽは針がついてて危ないッス!」
「もー、早く言ってくださいよ!」

成歩堂先生の指先には血の珠がぷっくり膨れてたッス。でも、自業自得ッスね。
自分はデスクからバンソウコウを出して差し出したッス。

「釣竿なんスから、針くらいついてますよ。
まったく、とんだオトボケぶりッスね」

釣りの経験者かと思ったらまったくの見当違いだったようッス。
ただのシロウトッス。

「その様子じゃ、ヒョッシーどころかフナ一匹連れそうもねッスよ」
「いや、僕は必ずこれで釣ってみせますよ!御剣を救い出すために!」
「頑張ろうね、ナルホドくん!」
「じゃ、釣竿借りてきまーす!」
「とほほ……新品なんスから、大切に扱ってほしいッスよ」
「任せてください!あ、ここ、暖房効きすぎですよ」

ネクタイを直し、意気揚揚と成歩堂くんと女の子はひょうたん湖に出かけてったッス。
連れ歩かれて情が移ったのか、おいてけぼり食らったミサイルがくーんと鼻を鳴らし
たッス。






――数時間後。

「糸鋸刑事」

成歩堂くんが刑事課にやってきたのは、ちょうど自分以外誰もいない午後のことッス。
辺りに誰もいないことを確認してから、彼は真っ直ぐ自分の席に来たッス。
走ってきたのか、すっかり息があがってるッス。

「御剣を助けられるのは僕だけなんですよ?わかっていますよね」

「わかってるッス……」
「貸……してください、金属探知機」

釣れなかったッスね、ヒョッシー。








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